「県立塚山公園」は、神奈川県横須賀市の北部にあり、京急「安針塚駅」から歩いて15分くらい急な坂道を登ったところにある。
標高133mの小高い山の上からは、天気が良ければ富士山、横浜のランドマークタワー、東京方面も見える。
山頂から下りて「海が見える広場」からは、アメリカ海軍基地のある横須賀軍港、東京湾、房総半島が一望できる。
この公園の名称「安針塚」は、徳川家康の外交顧問だったウイリアム・アダムス、日本名、三浦按針夫妻の供養塔があることから、そう名付けられたようである。
この公園を周辺を舞台にした小説がある。
「わんぱく天国」
作者は、ファンタジー小説の第一人者である「佐藤さとる」。
作者は、幼年期を「塚山公園」のふもとにある「逸見」(へみ)という町で育った。
小説は、国道(16号)を走るバスが渚橋に停車するところから始まる。
そして、主人公が安針塚方向へ移動する。
鹿島神社、駄菓子屋、酒屋の「香取屋」
このの小説は、昭和10年代の話だ。
当時の逸見町の様子がよく描かれている。
渚橋のバス停、鹿島神社は、今でも同じ場所にある。
鹿島神社を過ぎて右へ行くと塚山公園へ。
このあたりに駄菓子屋があったのだろうか。
酒屋の「香取屋」は、今では看板のみになったが最近までその場所にあり、現在は神社の近くでスーパーとして営業している。
さらに進むと分岐が現れ、どちらからでも塚山公園へ行かれる。
左側へ進むと、「わんぱく天国」の舞台の「柿の谷」へ。
分岐の手前に防災トンネルがあり、トンネルを抜けるとこの小説に出てくる西吉倉は、今の吉倉2丁目あたりのことであろうか、山を挟んで柿の谷の北側にある。
私は吉倉で育ち、今でも住んでいる。
この小説に出てくるメンコ遊びは、小学校のころやった記憶がある。
メンコのルールは、ほぼ小説に出てくるとおり。
私は、昭和40年代に小学生だったので、30年間もメンコのルールが引き継がれていたとは驚きだ。
逸見とは吉倉は同じ小学校だから、安針塚をめぐっての争いのようなものはなかったが、隣町の長浦の子供たちとは小説に描かれているような感情があったたような記憶がある。
時代はかわっても子供たちの遊びは変わらない。
物語の後半に出てくる飛行機が「ほたるの里」方面から登るルートの途中にある。
有志の方が作ったのだろうか。
私は人の乗れる飛行機は作らなかったが、山の中で秘密基地をみんなで作って遊んだ。
学校が終わって暗くなるまで遊んだ安針塚周辺の山は、今では造成されてマンションが建ち、自動車専用道が整備された。
現在の「塚山公園」はボランティアの方々が日ごろ手入れをしているので昔よりもきれいに整備されている。
昔の景色とは変わったが、小説に出てくる逸見の谷戸は今でも昔の風景が残っている。